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 年季の入ったドアベルを鳴らして扉を開けると、ハスキーな低い声が「あらァ、ヒサくん」と嬉しそうに言った。それからすぐ、きゃあ、と野太く短い悲鳴があがる。「どうしたのよ、その顔!」 その、と指差された口元に手をやると、指先に薄らと湿った感触が…

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 起きた瞬間に、これはまずい、という直感が走る。 最初は、ホテルで目覚めたのだと思った。頬に触れるシーツの慣れない感触にぶるりと背筋を震わせると同時に、頭の芯がすっと冷えてゆく。「あー……」 やっちまった。そう独り言ち、両手で顔を覆う。 必…

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 リラックスした様子でハンドルを握る横顔を盗み見ながら、胸の中だけで「調子狂うぜ」と毒づく。 駐車場に止まっているいかついSUVを「さすがスーパースター」とからかっても、仙道は「国産車だと狭くて」と鷹揚に笑うばかりだった。ガソリン代は払うと…

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 言うなれば、魔が差した、というやつだった。 三井は普段、流川が出ているテレビ番組とか、雑誌とか、そういうものはあまりチェックしないほうだ。月刊バスケットやトレーニー向けの専門誌なんかに載っている特集記事には目を通すこともあるが、女性向けの…

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 荷物が届いたのは、翌々日の夜だった。 通販サイトのロゴが入った段ボール箱を抱え、リビングのソファへ腰をおろす。日用品が詰まったおおきな段ボール箱のうえには別に梱包された薄い箱が乗っていて、こちらが本日のメインイベントである。「買っ、ちまっ…

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 ――今月号は『愛とカラダ』特集と題し、パートナーとのベッドの上でのコミュニケーションについて、読者の皆様から様々な悩みや相談を赤裸々にお寄せいただいています。流川選手は、普段あまりプライベートについて多くを語られない印象ですが? その質問…

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 なんじゃそら、と思わず吹き出し、三井はしばらく肩を震わせながら笑った。 あなたにとって『愛』とは――こんな質問、ドラマや映画の受け売りでもなんでも、適当にそれらしいことを言っておけばいいのだ。それを馬鹿正直に「分からない」とは。表面ばかり…

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 あの後結局流れのままに寝室へもつれこんで、暗転。 三井が事後のシャワーを浴び終えて帰ってくると、先にシャワーを終え、下着姿のままベッドへ寝そべっていた流川が、ちょうどくわっと大きな口を開けて欠伸をこぼすところだった。濡れた髪もそのままに大…